マーズレン配合錠1.0ES
「速崩壊錠について」
1997年 | 日本初の湿製方式による速崩壊錠の上市 |
1999年 |
マーズレンS配合顆粒の速崩壊錠化の研究スタート(マーズレン配合錠ES※プロジェクト)
※ES = Easy to Swallow 飲み易い
|
2002年 | マーズレン配合錠ESの製法特許の出願 |
2003年 | マーズレン配合錠ESの上市 |
2010年 | 速崩壊錠から普通錠のジェネリックへの変更調剤が認められる 「物質特許失効時に速崩壊錠を上市するモデルの終焉」 |
2011年 | 第十六改正日本薬局方に錠剤の形態の1つとして初めて「口腔内崩壊錠(OD錠)」が定義され各社の生産が本格化する 「水なしで飲み易い口腔内崩壊錠(OD錠)のコモディティ化」 |
1999年12月、社内で「主力製品のマーズレンS配合顆粒の飲み易い錠剤を開発せよ!」というプロジェクトが発足した。しかし、当時は今日で言うところの「口腔内速崩錠」という定義もなかったので、とり急ぎ、飲み易い(Easy to Swallow)というところから「マーズレン配合錠ESプロジェクト」が発足した。
本プロジェクトの第1の問題点は、マーズレンは主成分含量が1日約2グラムと多く、賦形剤の使用を出来るだけ抑えないと、かなり大きな錠剤になってしまうことであった。この大変困難が予想されたプロジェクトも、パートナーとして協和発酵工業株式会社(現 協和キリン株式会社)様との共同研究で何とかクリアーされ、無事に製剤特許として成立に到った。
第2の問題点は、錠剤の安定性であった。当時の製剤技術による易溶解性錠剤の製法では、錠剤を製造した後に水で調湿してから再度乾燥させるというものであり、そのやり方では水に不安定な主成分を含むマーズレンの主成分が分解してしまうことであった。ここでも協和発酵工業株式会社(現 協和キリン株式会社)様との共同研究で、同社が特許化していた錠剤に被膜を作る「外部滑沢技術」という当時では特殊な方法で、主成分に影響しないで易溶解性錠剤であるマーズレン配合錠ESを製造することに成功した。
第3の問題点は、比較的大きな錠剤の場合は、製造工程にて自重でワレ・カケが発生してしまうことであった。これも現場のリーダーのアイデアで製造方法を工夫することで乗り切ることができた。
第4の問題点は、味であった。マーズレンS配合顆粒は大変飲み易いとの評判であったが、錠剤にすると粉っぽくなってしまった。そこで、メントールを添加した錠剤にすることで多くの人を対象とした官能試験にパスすることができた。
最後になりますが、OD錠の草創期に立ち会えた幸運に心より感謝しております。また本プロジェクトでは、製剤化過程で卓越した「ものづくり力」を発揮された高専OB・OGの方々を始めとし、実に50人以上の関係者が関与され、2003年9月にマーズレン配合錠ESを無事に上市することができました。ここに多大なる御貢献をいただきました協和発酵工業株式会社(現 協和キリン株式会社)様の関係者様も含め、本プロジェクトに関与された全ての皆様方に衷心より感謝する次第であります。