頭痛とは、頭頚部に痛みが生じることですが、その種類はさまざまで、原因もそれぞれ異なります。国際頭痛分類第2版では、一次性頭痛4分類、二次性頭痛8分類、頭部神経痛、中枢性・一時性顔面痛およびその他の頭痛2分類の14に分類しています。大きく分けると、頭痛自体が病気とされる一次性頭痛と、脳腫瘍や脳出血、外傷など他の病気の症状としての頭痛を示すグループである二次性頭痛があります。
一次性頭痛には片頭痛、緊張型頭痛、群発頭痛などが含まれ、もっとも多いのは緊張型頭痛です。また、二次性頭痛は頭蓋内に限らず、頭痛の原因となる何らかの疾患があって発生する頭痛です。
1.一次性頭痛
片頭痛は、頭痛発作を繰り返し、発作は4~72時間持続します。片側性、拍動性の頭痛で、中等度~重度の重さであり、日常的な動作により頭痛が増悪することが特徴で、随伴症状として悪心や光過敏・音過敏を伴います。片頭痛には全庁のあるものとないものがあり、前兆のある片頭痛は、通常5~20分に亘り徐々に進展し、かつ持続時間が60分未満の可逆性局在神経症状(視覚症状、感覚症状、言語症状など)からなる前兆を示します。緊張型頭痛は一次性頭痛の中で最も多い頭痛ですが、緊張型頭痛の危険因子や誘因に確定したものはありません。反復性緊張型頭痛の予後は大半の例で良好ですが、一部は慢性緊張型頭痛に移行して予後不良な例があります。群発頭痛及びその他の三叉神経・自律神経性頭痛は群発頭痛、発作性片頭痛、結膜充血および流涙を伴う短時間持続性片側神経痛様頭痛発作及び三叉神経・自律神経性頭痛の疑いの4つのタイプに分類されます。その他の一次性頭痛としては一次性穿刺様頭痛、一次咳嗽性頭痛、一次労作性頭痛、性行為に伴う一次性頭痛、睡眠時頭痛、一次性雷鳴頭痛、持続性片頭痛、新規発症持続性連日性頭痛があります。
2.二次性頭痛
二次性頭痛では、頭頚部外傷、頭頸部血管障害、非血管性頭蓋内疾患、物質又はその離脱、感染症、ホメオスターシスの障害、頭蓋骨、首、眼、耳、鼻、副鼻腔、歯、口あるいはその他の顔面・頭蓋の構成組織の障害あるいは顔面痛、精神疾患によって頭痛がおこります。診断には、画像検査のほかに、必要に応じて脳波検査や血液検査を行います。
3.治療
一次性頭痛の入院治療の対象としては, 生命の危険がある二次性頭痛を否定すること。稀な頭痛の診断と治療、特殊な治療の有効性を確認、片頭痛重積発作、難治性または慢性群発頭痛、薬物乱用頭痛加療目的などがあげられます。
一次性頭痛
一次性頭痛の治療では主に薬物治療を行います。
片頭痛では、一般的には1)アセトアミノフェン、2)非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDs)、3)エルゴタミン製剤、4)トリプタン系薬剤、5)制吐薬があり、片頭痛の重症度に応じた層別治療が推奨されます。軽度~中等度の頭痛にはアスピリン、ナプロキセンなどの NSAIDs 、中等度~重度の頭痛、または軽度~中等度の頭痛でも過去に NSAIDs の効果がなかった場合にはトリプタン系薬剤が推奨される、いずれも場合も制吐薬の併用は有用です。
緊張型頭痛の 急性期(頓挫)療法 には薬物療法と非薬物療法があります。治療法の種類やその内容を十分に知った上で治療する必要があります。有効性に関しては治療法により異なりますが、十分に有効性が証明されている治療法は、鎮痛薬、 NSAIDs です。また病型や病態に則した治療薬の選択が望まれますが、治療薬の使い分けに関する根拠はあまりありません。頭痛発作時には急性期療法を使用し、慢性型緊張型頭痛には予防療法を併用することが望ましいとされています。
一次性頭痛の薬物療法以外の治療法には行動療法、理学療法、サプリメント療法がありますが、これらの治療法には健康保険の適用外のものや副作用の報告もあるため、使用にあたっては個人の特性を考慮に入れ行います。
群発頭痛の場合も薬物治療が基本ですが、薬物療法無効例では、神経ブロック療法(三叉神経ブロック、星状神経節ブロック、翼口蓋神経節ブロック 、 大後頭神経ブロック)三叉神経根切除、翼口蓋神経節切除が行われることがあります。
二次性頭痛
二次性頭痛では頭痛の原因となっている病気の治療が優先して行われます。多くの場合では原因疾患の治療が行われると、頭痛も改善します。対処療法としては一次性頭痛と同様に消炎鎮痛薬や抗けいれん薬などが使用されますが、二次性頭痛の場合、効果は一時的なもので根本の原因(疾患)の治療が行われない限り頭痛は治まりません。