寿製薬株式会社
胃の中にいる細菌で、胃潰瘍の約70~80%、十二指腸潰瘍の約90%「に関わっていると考えられています。日本人を対象にピロリ菌感染の有無で長期間経過を見た報告では、感染者だけに胃癌が見られましたが、感染者全員が胃癌になるわけではないことから、食塩、食事内容、体質など様々の因子が発癌に関わり、ピロリ菌が直接胃癌を起こすのではなく、胃癌のできやすい環境になるのではと解釈するのが妥当です。
ピロリ菌には日本人の約60%が感染しているといわれていますが、感染は衛生環境と関連しています。すなわち、衛生環境が悪いと人から排泄されたピロリ菌が飲み水や食べ物を汚染して次々と感染してしまいます。感染するのは幼少時で成人ではほとんど感染しません。したがって日本では最近の衛生環境の改善で若年者では感染率が低率ですが、高齢者ではその世代が幼少時に既に感染しているため高率に感染しています。従って、今後日本でも感染者が減少すると期待されています。
・血液や尿で測定する抗体測定法・尿素を内服してその前後で吐いた息を採取して調べる呼気試験法・便中のピロリ抗原測定法・内視鏡で採取した組織をもちいるもの・顕微鏡で検鏡・組織培養・ピロリ菌のもつ酵素反応を利用する迅速ウレアーゼ法。
わが国では胃・十二指腸潰瘍で健康保険による除菌治療が認められています。治療はプロトンポンプ阻害薬と抗菌剤2剤(アモキシシリン、クラリスロマイシン)を1週間内服します。その成功率は約70~80%と言われています。除菌治療が不成功であった例には、抗菌剤を変更して再治療を行うことで多くの例で除菌に成功します。