胆嚢ポリープは、胆嚢の内側にできる隆起性変化の総称である。健康診断や人間ドックの際に腹部超音波検査で偶然にみつかることが多い。
形態からは、キノコのように茎を持つ有茎性ポリープと茎がはっきりしない亜有茎性ポリープ、茎を持たず扁平に盛り上がる広基性ポリープなどがあり、亜有茎性ポリープ・広基性ポリープの中にがんが含まれていることがあるが、形態だけでがんかどうか断定はできない。胆嚢ポリープの中で最も多いのはコレステロールポリープである。胆汁に含まれるコレステロールが胆嚢壁にしみ込んで沈着し粘膜が隆起したもので、多発することが多く、数mm以内のものが多い。過形成ポリープ(胆嚢上皮細胞が過剰に増殖)、炎症性ポリープ(上皮細胞の下にある粘膜固有層の増殖によるもので慢性胆嚢炎などにより発生)は良性のポリープである。胆嚢腺腫は単発で生じて、基本的には良性であるが、一部に異型細胞を伴いがん化する可能性もある。大きさが10 mmを超えた場合はがんを疑う。
胆嚢ポリープの症状は特になく、合併する胆石症、胆嚢炎によるみぞおちの痛みや不快感などが主な症状である。
本疾患の診断には超音波検査が有用である。さらに精密検査として、超音波内視鏡で胆嚢壁の層構造の変化を調べ、造影CT検査にて血流を持つポリープか否かをみる。
検査の結果、コレステロールポリープなど良性が考えられ、大きさが10 mm以内の場合は特に治療の必要はない。しかしながら、後になって大きくなることもあり、半年から1年ごとに検査し経過観察した方がよい。最大径10 mm以上のものについてはコレステロールポリープの確診がなければ胆嚢摘出術を行い、術中検索あるいは術後病理診断で悪性所見あれば追加の手術(肝床切除やリンパ節郭清など)を行う。
予後については、良性疾患に関しては良好であり、がんに関してはその進行度による。定期的に検査を受けていれば変化を知ることができる。たとえ悪性であっても早期なら完治率は高い。
胆嚢ポリープの特徴
大きさ | 数 | 形態など | |
コレステロール | ほとんど10 mm以下 | 多発 | 桑の実あるいは金平糖状 |
過形成性、炎症性 | 通常5 mm以下 | 無茎性隆起 | |
腺腫 | 10 mm前後が多い | 単発 | 小結節状、血流あり |
がん | 10 mm以上が多い | 単発 | 表面不整、血流あり |