寿製薬株式会社

会社沿革

~杏(あんず)から始まった社史~

千曲市 森の杏(あんずの里:「ひとめ10万本」の広大なあんず畑)
今から約350年前の元禄時代の天和年間(1681~1683年)、伊豫宇和島藩二代目藩主 伊達宗利公の幼き息女「豊姫」が、満十七歳の松代藩三代目藩主 真田幸道公の正室として輿入れの際、離れ難き遠方の故郷の春の風情を永く忘れまじと二本の杏の苗木を持参し植え付けた後、松代藩森村(千曲市森地区)などへ配布したことに端を発する(1989年『杏花の里(銀河書房)』より)。
また江戸時代後期には杏の果肉が食用されるようになり、乾燥された杏の果肉は松代藩の参勤交代の土産として江戸で喜ばれた。(2004年『旬の食材:四季の果物(講談社)』より)。
そのような歴史的背景から、長野県千曲市と愛媛県宇和島市は現在でも姉妹都市でもある。
さらに杏の花の満開な毎年4月前半には「あんずまつり」が開催され、約20万人以上の国内外の観光客で賑わう。2013年には天皇・皇后両陛下もご訪問なされた。
「豊姫」の望郷の念から持ち込まれた杏が、4月には多くのお花見の観光客を魅了し、また6月に採れる杏の果肉は、食品加工会社を始めとした地域産業の礎となっている。
私たち「壽製薬株式会社」の社史もまた杏の種の「杏仁」から始まった。
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年表一覧

1949年

・創業1931年の「合資会社・壽商会」の代表社員で共同経営者の冨山 節が長野県より医薬品製造販売業の許可を同社の長野市豊野工場内に受領し「壽製薬所」を創立する。
「合資会社・壽商会」では杏ジャムを製造しており、多くは廃棄物であった杏の種から「杏仁水(キョウニン水:AQUA ARMENIACAE 「KOTOBUKI」)」を製造するpdf01)
長野県にて生薬を栽培することで、長野県の自然環境保全や就労機会の創出にも貢献する2)
※1)、2)ともにSDGsの考え方である。
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「杏仁水(キョウニン水:AQUA ARMENIACAE 「KOTOBUKI」)」

・「長野県製薬協会(長野市薬剤師会館内)」に商号を「壽製薬株式會社」として加盟し営業活動を開始する。
1950年
・「壽製薬所」を長野市豊野から坂城町大字坂城6343に移転し「杏仁水」の製造が本格化する。
1951年

・「壽製薬株式會社」の法人登記(資本金30万円)

・代表取締役社長 冨山 節 就任

・「長野県生薬振興委員会」に加盟

・「坂城薬草組合」設立の発起人となる。

創業時の銘板

「ロートエキス」、「セネガシロップ」の生産を開始する。

ロートエキス:EXTRACTUM SCOPOLIAE 「KOTOBUKI」
1952年
・当社で栽培されたセネガ根に含まれる「セネガ・サポニン」の含有量は北アメリカからの輸入に頼っていた高価なセネガ根の含有量より優れていることが東京大学薬学部の藤田路一教授により生薬学雑誌に投稿される。
1956年
・「ルチン」の生産を開始する。初めて欧米に「ルチン」を輸出
1959年

・創立10周年

・全国労働衛生週間において労働大臣より「優良職場」として表彰される。

・本社を坂城町大字坂城6352へ移転
1960年

・坂城町工場誘致条例の指定を受けて本社を坂城町大字坂城6351へ移転pdf0

・【生薬から化学合成医薬品への業態転換】本社、生薬製剤工場の隣接に化学合成医薬品製造のため「鉄筋スレート葺の原薬工場」が新設される。

原薬工場外観

・大阪事務所 開設
1962年

・化学合成医薬品として初めて「塩酸ブホルミン」の製造・販売を開始
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1964年
・「トリアムテレン」の製造・販売を開始
1967年

・国産初の「クロフィブラート」の製造・販売を開始

クロフィブラート製造設備

・「プロトポルフィリンジナトリウム」の製造・販売を開始し、台湾、韓国他海外に輸出する。

・新開発品:胃炎・消化性潰瘍治療剤「マーズレンS配合顆粒」国内発売
日本起源のアズレン類の創薬研究を活発化させる)

発売当時の広告

・QVF反応装置導入

1968年
国産初の腸溶性製剤である「アデタイド腸溶錠」、「ジベトンS錠(腸溶錠)」の製造・発売を開始
1969年
・創立20周年
1972年
・日中国交正常化により安価な中国産生薬の直接輸入が開始され、日本の薬用植物栽培は大打撃を受け急速に衰退する。やがて中国産生薬は国内市場の約8割を占めるようになる。
1973年
・東京事務所 開設
1976年
・高速3方充填包装機導入
1978年

GMP (Good Manufacturing Practices) による製剤工場完成

 総合研究所第一期工事完成
 

1979年
・創立30周年
 本社全景
1981年

・内閣告示により新旧字体として寿(壽)、会(會)も制定され、会社名として「寿製薬株式会社」 『商標登録第6086766号、6086767号』 を広く用いるようになる。

1982年

代表取締役社長 冨山 剛 就任

1983年

・総合研究所第二期工事完成

・高速自動連続包装機、連続造粒乾燥機導入
1984年

・海外留学制度の開始

・「マーズレンS配合顆粒」が医科向け医薬品の銘柄別売上高順位1位となる。
1985年
・日本薬学会にて新規化合物「アズロキサ(エグアレン)」の合成・薬理試験の結果を初めて発表する。
1986年

FASEB Meetingにて新規化合物の合成・薬理試験の結果を初めて発表する。

1987年

・RI(ラジオアイソトープ)研究施設完成

日米合同薬学大会(ハワイ)にて<寿シンポジウム>開催
1988年

研究論文が日本薬学会誌「Chemical & Pharmaceutical Bulletin」に初めて掲載される。

・日本化学会にて「2H-シクロヘプタ[b]フラン-2-オン」の合成・薬理試験の結果を初めて発表する。
1989年

・創立40周年記念社誌「鳳雛(ほうすう)」発刊

研究論文が米国化学会誌「Journal of Medicinal Chemistry」に初めて掲載される。

・米国化学会誌「Journal of Medicinal Chemistry」における投稿論文のレフェリー(審査員)の一つに寿製薬が選出される。
1990年

・中国において胃炎・消化性潰瘍治療剤「麦滋林」(マーズレンS配合顆粒)発売
麦滋林(中国)

1992年

・原薬第二工場の南側エリアに原薬製造設備一式を増設

・米国化学会(ACS)にて新規化合物の合成・薬理試験の結果を初めて発表する。
1993年

・GMP第二製剤工場完成

研究論文がエルゼビエ社「Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters」に初めて掲載される。

・エルゼビエ社「Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters」における投稿論文のレフェリー(審査員)の一つに寿製薬が選出される。
1996年
・原薬第四工場完成
1999年

・創立50周年

2000年

・インドにおいて胃炎・消化性潰瘍治療剤「GLUTAZENE」(マーズレンS配合顆粒)発売
GLUTAZENE(インド)

2001年

・新開発品:胃潰瘍治療剤「アズロキサ顆粒(エグアレン)」国内発売

・外部滑沢式噴霧装置導入
2004年

・医薬品医療機器総合機構(PMDA)からGCP (Good Clinical Practices) 査察を受け適合

・韓国において、胃潰瘍治療剤「アズロキサ顆粒(エグアレン)」発売
アズロキサ顆粒(韓国)
2005年
・合成原薬についての海外当局査察を受け適合
2006年
・「アズロキサ顆粒(エグアレン)」について医薬品医療機器総合機構からのGPMSP (Good Post-Marketing Surveillance Practices) 査察[市販後調査]を受け適合
2007年
・代表取締役社長 冨山 格 就任
2008年

・速崩壊性の錠剤、胃炎・消化性潰瘍治療剤「マーズレン配合錠0.5ES」国内発売

・「アズロキサ顆粒2.5%」の効能・効果が「H2受容体拮抗薬との併用」に拡大
2009年

・創立60周年

・速崩壊性の錠剤、胃炎・消化性潰瘍治療剤「マーズレン配合錠0.375ES」国内発売
2011年
・胃潰瘍治療剤「アズロキサ錠15mg」国内発売

・手指により割れ易く、高い分割精度を持つ
「カラテ錠(空手錠)」『意匠登録第1736108号』、『意匠登録第1775466号』国内発売
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2013年
・新規2型糖尿病治療薬/SGLT2阻害剤イプラグリフロジン(ASP1941)(アステラス製薬と共同開発)を国内承認申請しました。
2014年

・代表取締役社長 冨山 泰 就任

選択的SGLT2阻害剤「スーグラ錠25mg/50mg(Suglat、イプラグリフロジン L-プロリン)」
2015年
選択的SGLT2阻害剤「スーグラ錠25mg/50mg(Suglat、イプラグリフロジン L-プロリン)」
・韓国で製造販売承認を取得し、薬価収載され、発売しました。
FLT3阻害剤「ゾスパタ錠40mg(XOSPATA、ギルテリチニブ)」
・アステラス製薬との共同研究で見出されたASP2215(gilteritinib)が、2015年10月に厚生労働省より、初めての「先駆け審査指定制度」の対象品目として指定を受けました。
2017年
選択的DPP-4阻害剤/選択的SGLT2阻害剤配合剤「スージャヌ配合錠(SUJANU、シタグリプチンリン酸塩水和物・イプラグリフロジン L-プロリン)」

・選択的SGLT2阻害剤「スーグラ®錠」(アステラス製薬)とDPP-4阻害剤「ジャヌビア®錠」(MSD)の配合剤(アステラス製薬およびMSDとの共同開発)を国内承認申請しました。

FLT3阻害剤「ゾスパタ錠40mg(XOSPATA、ギルテリチニブ)」
・2017年7月にFDA(米国食品医薬品局)から「オーファンドラッグ指定」を取得しました。
・2017年10月にFDA(米国食品医薬品局)から「ファストトラック指定」を取得しました。
2018年
選択的SGLT2阻害剤「スーグラ錠25mg/50mg(Suglat、イプラグリフロジン L-プロリン)」
選択的DPP-4阻害剤/選択的SGLT2阻害剤配合剤「スージャヌ配合錠(SUJANU、シタグリプチンリン酸塩水和物・イプラグリフロジン L-プロリン)」

・国内で製造販売承認を取得し、薬価収載され、発売しました。
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FLT3阻害剤「ゾスパタ錠40mg(XOSPATA、ギルテリチニブ)」
・2018年1月にEC(欧州委員会)から「オーファンドラッグ指定」を取得しました。
・2018年3月に厚生労働省から「希少疾病用医薬品指定」を取得しました。
・FLT3遺伝子変異陽性急性骨髄性白血病の治療薬として2018年3月に日本で製造販売承認申請
・米国FDAから申請受領通知:成人の再発または難治性FLT3遺伝子変異陽性急性骨髄性白血病の治療薬として優先審査に指定
・再発または難治性のFLT3遺伝子変異陽性の急性骨髄性白血病治療薬として日本で製造販売承認取得
・成人の再発または難治性のFLT3遺伝子変異陽性急性骨髄性白血病治療薬として米国FDAから承認取得
・日本での新発売のお知らせ* –急性骨髄性白血病の患者さんに新たな治療選択肢を提供–
 *アステラス製薬との共同研究により見出されたギルテリチニブを有効成分とするゾスパタ®錠40mgをアステラス製薬から発売
・米国での新発売のお知らせ –急性骨髄性白血病の患者さんに新たな治療選択肢を提供–
2019年

創立70周年を迎えてコーポレートロゴマークを刷新しました。

・1963年より販売していたコディン散(リン酸コディン散1%「コトブキ」)の販売終了により全ての生薬製剤が終売となる。

選択的SGLT2阻害剤「スーグラ錠25mg/50mg(Suglat、イプラグリフロジン L-プロリン)」

・ロシアで製造販売承認を取得し、薬価収載され、発売しました。

FLT3阻害剤「ゾスパタ錠40mg(XOSPATA、ギルテリチニブ)」
・欧州医薬品庁から販売承認申請の受領通知を取得 –迅速審査指定品目として早期の承認取得を期待–
・成人の再発または難治性のFLT3遺伝子変異陽性急性骨髄性白血病患者の全生存期間を有意に延長 –救援化学療法と比較した第III相(ADMIRAL)試験結果 米国がん学会年次総会(AACR2019)で発表–
・米国FDAが全生存期間延長データの追加に関する添付文書の改訂を承認 –ギルテリチニブは、FDAが成人の再発または難治性のFLT3遺伝子変異陽性AMLを適応症として承認した唯一の治療薬–
・欧州CHMPが販売承認勧告を採択 –単剤療法による再発または難治性のFLT3遺伝子変異陽性急性骨髄性白血病治療薬として開発–
・欧州で販売承認を取得 –単剤療法による再発または難治性のFLT3遺伝子変異陽性 急性骨髄性白血病の新たな治療薬–
・第III相(ADMIRAL)試験結果 New England Journal of Medicine に掲載
・カナダで発売しました。
2020年
FLT3阻害剤「ゾスパタ錠40mg(XOSPATA、ギルテリチニブ)」
・台湾/韓国/ブラジル/オーストラリアで発売しました。
・中国にて承認申請の受理通知を取得
2021年
FLT3阻害剤「ゾスパタ錠40mg(XOSPATA、ギルテリチニブ)」
・再発または難治性のFLT3遺伝子変異陽性急性骨髄性白血病治療薬として中国NMPAから条件付き承認を取得
・第III相COMMODORE試験において主要評価項目(全生存期間)を達成
・中国/シンガポールで発売しました。
2024年